Mitsutoshi Hanaga Archives Project:羽永光利アーカイブ展

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1967年12月9日 ゼロ次元(加藤好弘)『全裸防毒面歩行儀式』(撮影:羽永光利)

Mitsutoshi Hanaga Archives Project

羽永光利アーカイブ展
 
 
7.23 – 8.20. 2016

Installation view

2016年7月23日[土] – 8月20日[土]
オープニング・レセプション:2016年7月23日[土] 19:00 – 21:00
Open:
水~土:12:00 – 19:00
日・祝:12:00 – 18:00
(定休日:月曜・火曜) ※夏期休廊なし


ギャラリートーク「写真、映像、カルチャーのアーカイブを考える」
日時:2016年8月13日[土] 16:00 –
場所:青山目黒
出演:井波 吉太郎、羽永太朗
定員:40名 


・アーカイブの定義
・自己紹介 & 取り組んだアーカイブ
・ハイカルチャーとサブカルチャーの逆転
 ~マルチプル・イメージ・二次資料(secondary source)~
・写真・映像などのアーカイブは国内外でどのように行われているか
・写真・映像などを保存する意味意義、取扱い方法、見せ方
・写真・映像などをアーカイブする上での法律的な障壁
・「羽永アーカイブ」羽永太朗と語る羽永光利について

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井波 吉太郎(いなみ よしたろう)
専門はアーカイブ学およびメディア文化史。写真・映像・紙資料といった複製物媒体のアーカイブの実践とコンテンツ研究を行っている。テレビプロデューサー大山勝美、アートディレクター鈴木八朗のアーカイブを主宰。2008年、日本大学 藝術学部 写真学科卒業。2016年、東京大学大学院 学際情報学府 文化・人間情報学コース 博士前期課程修了。フォトグラファーとして商業写真に従事したのち、2010年~2016年まで川崎市岡本太郎美術館学芸アシスタント。現在、世田谷文学館学芸員。

羽永 太朗 (はなが たろう)
1970年生まれ(現45才)カメラマン羽永光利の長男として誕生。幼年期は、父親のカメラ助手として前衛芸術や舞踏の撮影を手伝うものの、反面教師にてカメラの世界に進まず、大学卒業後は広告業界へ進む。広告代理店や自動車業界のマーケティング業務を経て、現在は動画広告のベンチャー企業に勤務。2013年「羽永光利プロジェクト委員会」を立ち上げ、父親が残した約10万コマに及ぶネガをデジタルアーカイブ化と写真調査を開始。2014年3月「アートフェア東京」の企画展示がきっかけとなり、国内外問わず60-70年代の社会風俗、舞踏、前衛芸術の写真展示中心に数多くの展示会に協力出展。

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展示作品リスト(pdf)

リスト対応画像サムネイル(pdf)
世相  舞踏  演劇 前衛

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青山目黒では、7月23日から8月20日まで「羽永光利アーカイブ展」を開催いたします。本展では、前衛芸術、舞踏、演劇、世相という4つのテーマを中心に、羽永光利アーカイブの中から選んだ約400点の写真などを展示いたします。

1933年東京生まれの羽永光利は、1950年代後半から1980年代にかけて日本の社会が大きく移り変わっていく激動の時代を潜り抜け、その生涯をかけて膨大な数の写真を残しました。 戦後日本が様々な矛盾と社会問題を抱える時代において、羽永は弱者や辺境の人々の視点からシャッターを切り、前衛芸術、アンダーグラウンド劇場、イベント、公害問題、学生運動、舞踏、コミューン活動など多岐に渡る現場の写真を記録し続けました。そして、自らの存在意義を模索し葛藤する若者たちの姿を至近距離で見守り続けた羽永の存在は「体制裏の芸術家」として伝説的に語り継がれてきました。 しかし近年になって、その膨大な写真群の全貌が明らかになるにつれて、羽永の存在は単に「時代の目撃者」 や「カメラマン」というだけでなく、パフォーマンス・アートの文脈から「現場に介入し撮影を繰り返すラディカルな行為そのものが羽永光利の芸術ではないか」と世界的に大きな注目を集めています。
会期中にはトークイベントなどを開催予定です。詳細が決まり次第、ホームページにて告知いたします。 羽永光利の眼を通して、戦後日本社会の変化や前衛芸術の歴史について新たな再検証の扉を開く場として、 ぜひご高覧ください。

 

【新刊出版予定のご案内】
「羽永光利 一〇〇〇」紙本版
発行:一〇〇〇bunko
文庫版/一色刷り/並製
一〇〇〇本書店

本展示に合わせ、「羽永光利 一〇〇〇」の刊行が決定いたしました。
購入をご希望の方は、弊ギャラリーにてご予約を承りますのでお気軽にお申し付け下さい。

 

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1964年10月10日 ハイレッドセンター『ドロッピング・ショー』(撮影:羽永光利)

 

企画:羽永光利アーカイブ展企画委員会
助成:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
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羽永光利 略歴

1933 東京・大塚に生まれる。

1956 文化学院美術科入学

1958 文化学院美術科卒業。後に1965年から1968年まで同学院で講師を勤める

1959~1960年 マン・レイ、モホリ・ナジに惹かれて自己流のフォトグラム、デカルコマニィを制作。高円寺の画廊喫茶「ネルケン」で発表中、瀧口修造氏に出会う。

1961 第一画廊(東京・新宿)で第一回個展を開く。金丸重嶺氏、植村鷹千代氏、写真家今井寿恵氏に見出され、今井氏の助手を勤める。

1962 フリーランス・カメラマンになる。社会派及び前衛的表現・行為を総合写真グラフ誌と芸術美術誌などで発表。1962年『週刊平凡』に若者を主題にした記録、『週刊女性』などに写真を掲載。(〜1965年)

1962年から1968年にかけて、第一画廊及び村松画廊にて第2回個展から第8回個展を開催。

1964 『ライフ』と『ライフ・インターナショナル』に写真掲載。

1965~1968年 『美術手帖』、『小原流挿花』などに若いアーティストの訪問ドキュメント、小劇場運動舞踏を掲載。

1968~1970年 『婦人公論』、『アサヒグラフ』に現代美術、舞踏、小劇場、風俗、社会問題などを掲載。

1971 朝日新聞社『週刊朝日』でフォト紀行、「ナウナウ(現・デキゴトロジー)」担当。(〜1975年)

1972年〜1979年 『美術手帖』、『芸術新潮』、『芸術生活』などでアートルポ、紀行、記録写真を発表。この間、銀座絵画館やシミズ画廊(東京・荻窪)にて、第9回個展(1972年)、第10回個展(1974年10月16日~23日、荻窪シミズ画廊、「羽永光利第10回個展―記銘喪失者の記録と幻想―」)、第11回個展(1978年)を開催。

1979 東京都美術館「東京展」を開催。

1981-83 新潮社の新雑誌『フォーカス』を企画立案。自らも取材スタッフとして活躍。

1982 画廊春秋(東京・銀座)にて個展開催。フランスのアヴィニヨン フェスティバル 写真展に招待展示。1983年までにフランス国内15都市を巡回。

1983 パリのポンピドゥー・センター(Centre Pompidou)に招待され、写真とスライドの展示を行う。また、ポンピドゥー・センター内のフラマリオン書店で「舞踏」写真集刊行サイン会を開催。フランスのナントで個展開催。

1984 ユネスコ・パリ本部で個展開催。イスラエル・ギャラリーホワイトで二人展を開催。ヴェネツィア・ビエンナーレのビデオ部門に招待出品。画廊春秋にて、羽永光利個展「ヒポコンデリシャス―甘美なる鬱〈うつ〉」展(4月23日~28日)を開催。

1985 舞踏フェスティバル参加。日本文化財団主催「かえってきた舞踏写真」東芝セブン、画廊春秋にて個展開催。ベルリン・ホリゾントフェスティバル招待展示

1999 12月逝去。

2014 アートフェア東京 2014で、ぎゃらり壷中天と青山|目黒により「トータル・リコール ― 羽永光利の仕事(1959-1999)」と題して、羽永光利の記録写真が本格的に紹介。ぎゃらり壷中天にて「目撃者!羽永光利展“舞踏”を中心に」展が開催。また、練馬区立美術館の「あしたのジョー、の時代展」に出品。千葉市美術館を皮切りに「赤瀬川原平の芸術原論展 1960年代から現在まで」展が2014年から2015年にかけて、大分市美術館、広島市現代美術館を巡回。

2015 「羽永光利による前衛芸術の“現場”1964-1973」展を青山|目黒で開催。韓国・光州の国立アジア文化殿堂(Asia Culture Center, ACC)にて行われた「Performing Arts in Asia」展に出品。さらに、ロンドンのテート・モダン(Tate Modern)で2015年から2016年にかけて開催された「The EY Exhibition: The World Goes Pop」展に出品。

2016 デュッセルドルフのWELTKUNSTZIMMERにて開催の「Butoh Photography」展に出品。リオ デ ジャネイロのパソ・インペリアル美術館(Paço Imperial)で開催の「コンテンポラリーの出現・日本の前衛美術1950-1970」展に出品。また、The MIT Pressより富井玲子氏による著書『Radicalism in the Wilderness: International Contemporaneity and 1960s Art in Japan』(表紙:羽永光利)が刊行。さらに、スイスのフリブール・アートセンター(Fri Art, centre d’art de Fribourg / Kunsthalle Freiburg)の企画展に出品予定。

 

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1968年6月 神田カルチェ・ラタン闘争 (撮影:羽永光利)