田中 功起:共にいることの可能性、その試み(水戸芸術館 現代美術ギャラリー、茨城)

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「一時的なスタディ:ワークショップ#4 共にいることの可能性、その配置」 2015-2016 制作風景
6日間の共同生活、ワークショップ、記録映像

 

田中 功起:共にいることの可能性、その試み(水戸芸術館 現代美術ギャラリー、茨城)

2.20 – 5.15, 2016

 

共にいることの可能性、その試み:詳細

 
会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリー
開催日:2016年2月20日[土]~ 2016年5月15日[日]
開館時間:9時30分~18時(入場時間は17時30分まで)
休館日:月曜日※3月21日(月・祝)は開館、翌3月22日(火)は休館

入場料:一般800円、前売り・団体(20名以上)600円
中学生以下、65歳以上・障害者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名は無料
※本展に限り、1枚の入場券で会期中3回まで入場可
協賛:Vitamin Creative Space
協力:青山|目黒、アサヒビール株式会社、ARTISTS’ GUILD、国際交流基金
企画:竹久侑(水戸芸術館現代美術センター学芸員)


 

本展は、田中功起による国内初の大規模な個展です。田中は、映像記録、インスタレーション、執筆、パフォーマンスおよびイベント企画といったさまざ まな方法を通して、現在の社会状況や既成の枠組みに対し、別の視点やあり方を模索する活動で近年、注目されています。2013年の第55回ヴェネツィア・ ビエンナーレでは、5名の陶芸家がひとつの陶器をともにつくる様子をとらえた映像作品などで、複数の人びとがひとつのことにともに携わるときの、その行為 の美しさと難しさを表し、国際的に評価されました。
 本展では、協働による営みに関心を抱くようになった2010年以降の田中の活動に焦点をあて、新作を中心に、近年の取り組みとあわせて紹介します。
 本展のために制作された新作は、一般参加者とファシリテーター、撮影チームらと一つ屋根の下をともにした6日間の滞在とそのなかでのワークショップがも とになります。朗読、料理、陶芸、社会運動にまつわるワークショップ、ディスカッション、インタビューなどで構成された6日間を通して、移動や共同体につ いてそれぞれが考え、また対話し、実践する機会が設けられました。本展では、これらのワークショップの記録映像をもとにつくられた複数の映像に、作家が制 作中に書いたノートなどが添えられ展示されます。

※ 新作映像は全編でおおよそ230分になる見込みです。

 


【2015年11月8日のメモ(ステイトメントとして)】

あなたはどのような場面でまったく初対面のだれかに心を開くだろうか。
あなたは隣にいるだれかとどのようなとき、共に助け合おうとするだろうか。
あなたは何を根拠にだれかを信頼し、あなたの傷つきやすさを預けようとするだろうか。

山の中での非日常的な共同生活とワークショップ。そこには撮影隊も共に寝泊まりをしていて、その光景を記録している。ぼくも、あなたもそこにいて、私たち は、まだそれが何を意味するのかを知らない。私たちは、料理をし、朗読をし、発声し、動き回り、会話をし、社会について考え、陶芸を行い、話し合う。そし て私たちは、その小さな社会の中で、自分の位置を確認し、自分の役割を問い直し、ときに自分を見失う。そのようにして他者に出会い、その相手を気遣う。ほ とんど見ず知らずのだれかと、もしかすると理解しがたい他者と、共にいることを試みる。それはあるひとからすれば当然の、あたり前の状態であり、別のひと からすれば受け入れがたき状況だろう。この状況は、仮の、作られた、一時のものでしかないかもしれない。だけれども、一時的にでも可能であるならば、それ はいつ、どこで、どんななにものかとであっても、可能ではないだろうか。(田中功起)


 

 

▼田中功起 略歴

たなか こおき。1975年生まれ。アーティストとして活動し、ARTISTS’ GUILDと基礎芸術に参加/協働する。近年は出来事の組織化や集団による営み、その記録に興味を持ち、それにまつわる制作活動を行っている。2013 年、第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の日本館における展示で特別表彰を受賞、2015年にはドイツ銀行のアーティスト・オブ・ザ・イヤーに 選出される。プロジェクトの記録や過去のテキストを再録した書籍に、『Precarious Practice』(Hatje Cantz、2015年)、『必然的にばらばらなものが生まれてくる』(武蔵野美術大学出版局、2014年)、『質問するその1(2009 – 2013)』(ART iT、2013年)、『Abstract Speaking – Sharing uncertainty and collective acts』(NERO Magazine、 国際交流基金、2013年)などがある。
ツイッター: @kktnk
ウェブサイト: http://kktnk.com/

 

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