田中 功起 参加:あいちトリエンナーレ2019  情の時代(愛知芸術文化センターほか、愛知)

《抽象・家族》 2019

 

田中 功起 参加:あいちトリエンナーレ2019  情の時代(愛知芸術文化センターほか、愛知)

 

1 Aug – 14 Oct 2019



会期:2019年8月1日(木)~10月14日(月・祝)[75日間]

主な会場:
愛知芸術文化センター
名古屋市美術館
名古屋市内のまちなか(四間道・円頓寺)
豊田市(豊田市美術館及び豊田市駅周辺)

テーマ:情の時代

企画体制:
芸術監督:津田大介(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)
企画アドバイザー:東 浩紀
チーフ・キュレーター(学芸統括):飯田志保子
キュレーター(国際現代美術展):能勢陽子、ペドロ・レイエス、鷲田めるろ
キュレーター(映像プログラム):杉原永純
キュレーター(パフォーミングアーツ):相馬千秋
キュレーター(音楽プログラム):大山卓也
キュレーター(ラーニング):会田大也
コンサルタント:ホウ・ハンルゥ
公式デザイナー:前田豊
 

主催:あいちトリエンナーレ実行委員会

More info: https://aichitriennale.jp/index.html

 

あいちトリエンナーレは、2010年から3年ごとに開催されている国内最大規模の国際芸術祭です。4回目となる2019年は、国内外から80組以上のアーティストを迎えます。国際現代美術展のほか、映像プログラム、パフォーミングアーツ、音楽プログラムなど、様々な表現を横断する、最先端の芸術作品を紹介します。

 

 

田中功起 作品 展示会場:愛知県美術館(愛知芸術文化センター 10F)
https://aichitriennale.jp/artwork/A11.html

 

田中功起 映像上映/アッセンブリー『抽象・家族』

①日時:9月7日(土) 19:00〜

会場:愛知県美術館(10階)
上演時間:120分(予定) 
上演言語:日本語 
チケット料金:1,300円

*未就学児はご入場いただけません 
*当日の様子は撮影され、作品の一部となる予定です。ご了承のうえ、ご参加ください。 
詳細:https://aichitriennale.jp/artwork/A70.html

②日時:9月21日(土)16:00〜

会場:豊田市美術館 講堂 
上演時間:120分(予定) 
上演言語:日本語 
チケット料金:1,300円

*未就学児はご入場いただけません 
詳細:https://aichitriennale.jp/artwork/T61.html

 

 

あいちトリエンナーレ 2019年8月25日 お知らせ
田中功起氏の展示の「再設定」について
https://aichitriennale.jp/news/2019/004079.html

 

8/18(日)に参加アーティストの田中功起氏から、「表現の不自由展・その後」の展示中止に際し、8/12(月)に海外アーティストが発表したステートメントに署名し、出展作品《抽象・家族》の再設定を行いたいとの申し出がありました。担当キュレーター及び事務局との協議を経て、以下のとおり9/3(火)より展示の再設定を実施することとなりました。

再設定の内容:

1)通常展示の中断(展示室の扉が半分閉ざされ、展示室内への入場ができなくなります)。

2)展示室入り口にて、来場者への手紙(映像室内で上映されていた映像閲覧リンクを含む)及び作品の一部であるアーティストノートを配布。

3)パフォーミングアーツ・プログラムとして予定されていたエクステンション企画(アッセンブリー*)は当初のとおり開催。(9/7(土)19:00-愛知県美術館、9/21(土)16:00-豊田市美術館)

4)上記以外に、会期中毎週土曜日(9/14、9/28、10/5、10/12)14:00-18:00にアッセンブリーを開催する予定。参加方法等詳細は9/10(火)までにあいちトリエンナーレの公式Webサイトにて発表いたします。

*アッセンブリーは《抽象・家族》の展示室内で行う集会です。その場に集まった来場者は集団で展示を鑑賞し、作家や出演者を含む他の参加者とともに、作品が問いかける問題について対話を行います。

あいちトリエンナーレ実行委員会は、田中氏の意向を真摯に受け止め、申し出を尊重するとともに、アッセンブリーにお集まりくださる来場者の皆様とともに、作品が提起する差別や排除の問題、現在のあいちトリエンナーレを取り巻く諸問題について思考し、対話する場を開いてまいります。

 

 

展示の再設定のための、遅れたステートメント

「表現の不自由展・その後」閉鎖をめぐる問題は、当初「リスク管理」をめぐる組織運営の問題であった。しかし、いま現在の状況は、大村秀章愛知県知事と津田大介芸術監督による、「安全性」の名の元に行われる自己検閲へと徐々に問題がスライドしてきていると、ぼくは思う。第三者委員会を設けることによって迅速な「表現の不自由展・その後」再開への道が開かれるというのは方便であって、むしろそれによって遅延が行われている。事務局はさまざまな煩雑な問題の処理によって日々の運営を忙殺されていると聞く。そもそも事務局内での各部署の連携はどの程度できているのか、ぼくには分からない。全ての事柄を把握することは難しいし、細部は入り組んでいる。

しかしはっきりしていることがある。それは、組織作りの不備と対処方法への準備不足であった問題が、「テロ予告や脅迫との戦い」という大きなフレームによって焦点がぼかされ、それによって覆い隠されたのは、政治家たちによる歴史の否定であり、検閲を匂わせる発言であり、人びとの差別感情を煽る言葉たちである。それらはこれからの「表現の自由」をも奪うきっかけとなるだろう。

ぼくは、このような現状を追認するためにいままで活動を続けてきたわけではない。これは私たちの問題であり、ここで行われるさまざまな選択と行動は、未来の誰かにも深い影響を与えることになる。

この状況に抗議し、自分たちの問題として考えるためには、展示自体のフレームを再設定することが必要であるとぼくは思う。ぼくが行うのは「一時停止」ではなく、「展示」をパフォーマティブにすることである。今回のぼくのプロジェクトは、フィクショナルな単一民族としての「日本人」像を解体し、出演者たちが曝されてきた差別について、観客が耳を傾ける行為を促すものであった。そこで、もともとは展示の拡張として構想されていたあいちトリエンナーレの中でのパフォーミング・アーツ枠による二日だけのエクステンション・イベントを、毎週末の集会としてより拡張し、展示空間で行う。映像を通して出演者たちの声を聞き、そこで語られたこと/語れなかったことを考え、彼ら/彼女たちの言葉をガイドにして、観客同士がお互いに話せる場所にする。展示としての機能(開館時間内にランダムに行き来ができる鑑賞形式)は制限される。しかし限定された時間の中で「展示」を「集会化」する。これが、現在のあいちトリエンナーレが置かれている状況への、ぼくの暫定的な応答である。

田中功起
2019年8月21日

 

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