囚われ、脱獄、囚われ、脱獄:Time Tunnel 「時間の穴」

Imprisoned, Jailbreak


囚われ、脱獄、囚われ、脱獄:Time Tunnel 「時間の穴」


3.19 – 4.17, 2016

合同オープニングレセプション:2016年3月20日[日] 6 – 9 pm
会場:SUNDAY [東京都世田谷区池尻2-7-12-B1F]

 

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囚われ、脱獄、囚われ、脱獄

このたび「囚われ、脱獄」実行委員会は、2016 年 3 月 19 日(土)から 4 月 30 日(土)まで、都内6会場(駒込倉庫、KAYOKOYUKI、CAPSULE、SUNDAY、青山|目黒、statements)にて「囚われ、脱獄、囚われ、脱獄」を開催いたします。
2013年10月にXYZ collective(東京・世田谷)で開催された「囚われ、脱獄」につづき、2回目の開催となる今回は、作家数・会場数ともに拡大し、実行委員会を組織する5名の作家(荒木悠、磯谷博史、五月女哲平、竹崎和征、山根一晃)が、各会場のキュレーションを担当します。
この展覧会の大きなテーマは「枠」を思考するものです。言語、国境、しがらみ、視野、物質、など、あらゆるすべてのものが持つ範囲、人が生きていく以上あらゆる場所に生成されてゆく「枠」。その既存の「枠」をアーティストは再構築できます。無くすことも、操ることも、飛び越えることも、意味の変容さえもおこすことができる。この展覧会は、よりよい現実を手にするための試行であり、アーティストの価値を改めて見直すことができる展覧会になると思っています。

 

参加作家:
青木陵子 Ryoko Aoki
青山根子 Neko Aoyama
青崎伸孝 Nobutaka Aozaki
荒木悠 Yu Araki
万代洋輔 Yosuke Bandai
オリバー・ビア Oliver Beer
シャルベル=ジョセフ・H.ブトロス Charbel-Joseph H. Boutros
コブラ COBRA
題府基之 Motoyuki Daifu
ハルーン・ファロッキ Harun Farocki
アキラ・ザ・ハスラー Akira The Hustler
磯谷博史 Hirofumi Isoya
小関清人 Kiyoto Koseki
マーガレット・リー Margaret Lee
ユーアン・マクドナルド Euan Macdonald
松原壮志朗 Soshiro Matsubara
ミヤギフトシ Futoshi Miyagi
室井康希 Koki Muroi
西村有 Yu Nishimura
ウィル・ローガン Will Rogan
齋木克裕 Katsuhiro Saiki
五月女哲平 Teppei Soutome
砂入博史 Hiroshi Sunairi
高松次郎 Jiro Takamatsu
高山陽介 Yosuke Takayama
竹川宣彰 Nobuaki Takekawa
竹崎和征 Kazuyuki Takezaki
豊嶋康子 Yasuko Toyoshima
カール・トゥイッカネン Karl Tuikkanen
矢口克信 Katsunobu Yaguchi
山根一晃 Kazuaki Yamane

 

yaguchi_aoyama

 (c) 2016 Katsunobu Yaguchi

Time Tunnel 「時間の穴」

2016年3月19日[土] – 4月17日[日]
オープニングパフォーマンス/小関清人 : 3月19日[土] 7 pm
Open: 12 : 00 – 19 : 00 月火休

 

Artists:
青山根子 Neko Aoyama
小関清人 Kiyoto Koseki
室井康希 Koki Muroi
カール・トゥイッカネン Karl Tuikkanen
矢口克信 Katsunobu Yaguchi

 

Curation:
荒木悠 Yu Araki

 

Venue: AOYAMA|MEGURO [2-30-6 Kamimeguro, Meguro-ku, Tokyo]
Date: 2016.3.19[Sat.]-4.17[Sun.]
Hours: Wednesday – Sunday 12:00-19:00

 

Cooperation:
AOYAMA|MEGURO
ARTISTS’ GUILD
板室温泉 大黒屋 Itamuro Onsen Daikokuya
小料理喫茶ワシントン Cafe Washingtown
Nordin Gallery
持塚美樹+あらき工房 Miki Mochizuka + Araki Kobo
坂根悠太 Yuta Sakane
和田みさ Misa Wada

 

「時間の穴」

何年か前に、アイスランドの辺境で占い師に手相を見てもらったことがある。とても良く当たると地元でも評判の占い師だ。陽が昇らない十二月、その日も酷い吹雪だったが、彼女は約束の時間にキチンと現れた。私は手相どころか占い自体が初めてで、やや緊張しながらも、老眼鏡越しに丹念に掌を眺めている彼女の視線を伺いつつ、まだ入口すら見えぬ自分の制作のことをボンヤリ考えていた。

自分にとって制作とは一体何なんだろうか。直感を頼りに方角を決め、とにかく進み続けることの継続。囚人が長いトンネルを掘り続けているようなイメージで、いつも気が遠くなる。しかし脱獄に必要な計画性は、一夜では訪れない。看守の目を盗み、何年もかけて、食事用のスプーンでコツコツ穴を掘る。ある晩、囚人は穴の奥から微かな風を感じる。三日月の明かりが、突如漆黒のトンネル内を眩しいくらいに照らす。外だ。

「あなたは将来、今と近い領域で全く違うことをしているでしょう」
トンネルを抜けると看守、もとい占い師が不敵な笑みを浮かべながらそう告げた。
囚人が後ろを振り向くと、自分の影が、穴の奥へと伸びるように吸い込まれていった。

***

本展の会場のひとつである青山目黒では、振り返った時に特異なタイムスパンで制作活動を行なってきた五名の作家を紹介する。

NY在住の小関清人は、展示空間への一時的な介入において、意味の脱臼が生じさせるその向こう側を問いかけてくる。室井康希の作品には、彼自身が現在は作家活動を休止しており、今後いつ制作を再開するかわからない、という点で「作家活動」と呼ばれる時間的尺度そのものが既に内包されている。長年のリサーチをもとに展開するスウェーデン在住カール・トゥイッカネンは、消費社会の構造に潜むジェンダーの力学を、形態の変換を通して暴き出す。青山根子とは、かつて同じフロアに住んでいたことがあるのだが、一度も顔を合わせることなくお互い引っ越してしまったという奇妙な関係だ。水戸を拠点に活動する矢口克信は、例えば年号が変わったときに抱く違和感を連続再生するかの如く、もう無くなってしまった風景の記憶を現代に映し出してくれる。どの作家からも、骨太なのに軽やかで、また繊細にして大胆に、物事と向き合っていく柔軟な姿勢を感じとることができるだろう。

ここで「作品」と呼べるのは、掘ったトンネルのことなのか、もはや使い物にならなくなったスプーンなのか、或いは脱走できた時の爽快感なのだろうか。全てがそうであると同時に、そのいずれでもない気がする。ようやく自分のものになった表現媒体の裏では、パラレルに潜んだ別の可能性が、密かに脱獄の時機を図っている。

荒木悠

 

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同時開催展概要:
*会期・開場時間は会場ごとに異なりますのでお気をつけください。

1「今日の始まり|Good Morning Today」
作家: COBRA、アキラ・ザ・ハスラー、マーガレット・リー 、ミヤギフトシ、西村有、五月女哲平、高山陽介、竹川宣彰、竹崎和征
会場: 駒込倉庫 KAYOKOYUKI (東京都豊島区駒込2-14-2)
会期: 2016年3月19日(土)- 4月17日(日) *月火休
時間: 水 – 土 12:00-19:00 / 日 12:00-17:00

2「時間の穴|Time Tunnel」
作家: 青山根子、小関清人、室井康希、カール・トゥイッカネン、矢口克信
会場: 青山|目黒 (東京都目黒区上目黒2-30-6)
会期: 2016年3月19日(土)- 4月17日(日) *月火休
時間: 水 – 日 12:00-19:00

3「目を盗む|Stealing Eyes」
作家: オリバー・ビア、磯谷博史、ユーアン・マクドナルド、松原壮志朗、高松次郎、山根一晃
会場: CAPSULE (東京都世田谷区池尻2-7-12-B1F)
会期: 2016年3月19日(土)- 4月30日(土) *月火水休
時間: 木 – 日 12:00-19:00

4「10月、車内にて|October, on the train」
作家: 荒木悠、題府基之、ユーアン・マクドナルド、齋木克裕、豊嶋康子
会場: SUNDAY (東京都世田谷区池尻2-7-12-B1F)
会期: 2016年3月19日(土)- 4月30日(土) *4月13日(水)休
時間: 11:30-23:00 / 水のみ18:00まで

5「サイレント ブルー|Silent Blue」
作家: 青木陵子、青崎伸孝、万代洋輔、シャルベル=ジョセフ・H.ブトロス、磯谷博史、ウィル・ローガン、山根一晃
会場: statements (東京都渋谷区東2-27-14-102)
会期: 2016年3月19日(土)- 4月24日(日) *月火休
時間: 13:00-20:00

スクリーニング プログラム
作家: [プログラムA]砂入博史、ハルーン・ファロッキ ほか
[プログラムB]矢口克信 ほか
会場: 駒込倉庫(東京都豊島区駒込2-14-2)
*開催日時・詳細のプログラムは、近日オフィシャルページにてご案内します。
http://toradatsu.teamblog.jp

スクリーニング協力 Screening Coordinator:
柴田とし Toshi Shibata

全体協力 Exhibition Manager:
兼平彦太郎 Hikotaro Kanehira


「囚われ、脱獄」実行委員会
荒木悠、磯谷博史、五月女哲平、竹崎和征、山根一晃

オフィシャルページ
http://toradatsu.teamblog.jp

本リリースに関するお問い合わせ先
「囚われ、脱獄」実行委員会事務局: 東京都渋谷区東2-27-14-102「statements」内 toradatsu@gmail.com

 

協力:
AOYAMA|MEGURO、CAPSULE、GUIDE GUIDE、KAYOKOYUKI、KOMAGOME SOKO、statements、SUNDAY
ARTISTS’ GUILD、Galerie Thaddaeus Ropac、Grey Noise、HASHIMOTO ART OFFICE、Itamuro Onsen Daikokuya、Cafe Washingtown、MISAKO & ROSEN、Nordin Gallery、OTA FINE ARTS、SCAI THE BATHHOUSE、Take Ninagawa、TARO NASU、XYZ collective、Hideki Aoyama、Araki Kobo、Yalda Bidshahri、Umer Butt、Contemporary Art Foundation、Antje Ehmann、Takashi Fujikawa、Ryota Fujitsuka、Harun Farocki GbR、Goethe-Institut、Kagari Hashimoto、Shuta Hasunuma、Sachie Hoshi、Megumi Ishikawa、Jill Godmilow、Toshihiko Kasai、Joel Kimbeck、Miki Mochizuka、Kei Okano、Katzumi Ota、Shino Ozawa、Jeffrey Rosen、Misako Rosen、Yuta Sakane、Masami Shiraishi、Mami Suda、Ayuko Sugiura、Yasunori Takamura、Yae Takezaki、Yasuichi Tochikubo、Misa Wada、Kyo Yoshida、Seiichi Yoshino、Kayoko Yuki