青山目黒ではこの度、川崎出身/在住で国際的に活動した美術家・折元立身(1946–2025)の追悼展として、「折元 立身 : パンと / Tatsumi ORIMOTO : With Bread」を開催いたします。 折元は生涯にわたり多様な作品シリーズに取り組んできましたが、なかでもパンを用いたアクションは最もよく知られ、長年に渡り続けられた代表的な作品群です。
世界のどこでも手に入る「パン」という素材を用い、場や状況をいつの間にか変えてしまう——その単純さと即興性こそが折元の方法でした。 主食であり比喩でもあり、広く共有される物質としてのパンは、折元の行為に多様な解釈や想像を呼び込み、国や文化を越えて批評的な関心も引き寄せてきました。誰もが思いつきそうでありながら、実際には誰も実践してこなかった行為であったことも、このシリーズが折元を象徴する作品となった理由です。
訪れた土地や心身の状態、その時々の環境に応じて変化しながらも繰り返し行われ、常に新たな試みが重ねられてきました。この素材は晩年まで折元の創作と共にあり続けています。
弊廊で7度目となる個展であり、また没後初の展覧会となる本展ですが、「パン」のシリーズをご紹介するのは今回が初めてです。世界各地で行われたアクションの記録を、未発表作や遺作となった The New York Times Magazine の誌面のための新作まで、写真・映像・資料とともに紹介すると同時に、その過程で生まれた立体作品やドローイングも含め、約40点を展示いたします。
どうぞ改めて折元立身の仕事をこの機会にお見知り置きいただければ幸いです。
写真:西山功一
1946年 川崎市生まれ、2025年没。
1970年代に渡米し、ロサンゼルスとニューヨークを拠点に制作を行う。1980年代以降は主にパフォーマンス作品の制作と発表のために国際的に活動した。個展として、原美術館(東京、2000年)、Museum of Art Fort Lauderdale(米国)、Ikon Gallery(バーミンガム、1990年代)、Museu de Arte de São Paulo(MASP、1990年代)などで紹介されている。国際展では、第16回サンパウロ・ビエンナーレ(1981年)、第18回サンパウロ・ビエンナーレ(1985年)、第1回ハバナ・ビエンナーレ(1984年)、第8回シドニー・ビエンナーレ(1986年)、横浜トリエンナーレ(2001年)などに参加。国や文化を越えて広く評価を得た。2025年逝去。