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シュウゾウ・アヅチ・ガリバー  奥村雄樹 : SHI (Etablissement d’en face, Brussels )

October. 31–December. 7,2014


Vernissage: 7–10pm, Oct 31

 

Etablissement d’en face projects

Rue Ravensteinstraat 32
B-1000 Brussels

http://www.etablissementdenfaceprojects.org/eng/home/home.html

 

△△△

 

「矢じるし」を意識した最初は、1981年に「Weight/Japan trench」という計画を考えていた時だったと記憶している。

この計画は、私の体重と同じ重さを持つ無垢のステンレススチールの球を日本海溝に沈めようとするものだった。球は日本海溝の深みにはあるが、もう見ることはできない。では我々の見ることができる範囲(?)でどのように表現するのか、と進展させていった時に、球がある場所、球の在処を、方向を指し示す「矢じるし」を制作、公開しようとしたのである。「あちらにあります」。今なら。GPS(衛生測位システム)で、球に発信器でも付ければ(?)、スマートフォーンのモニターにでも常にその位置を表示することも簡単にできるように思えるが、それは全く別のものになってしまうだろう。

今年ふと道路工事の現場で、また「矢じるし」を発見した。今まで多くのしるしやかたちを描いてきた。描くという言葉の隣には描写という言葉もあって、モデルという考えも出て来る。私のやってきたのは描写ではなさそうだ。「矢じるし」も描写したのでは決してない。ただ描く、あるいはただ示すものなのであろう。かつて消息という言葉を数多く使っていたことがあったが、これは”「消息ということ」をモデルにした描写”とでもいった構造と同様な構造にあるようにも思える。

「矢じるし」を描いて、西方浄土を、山越来迎図に思いを巡らしてしまうのは、今、若いアーティストと「死」を巡って恊働するかのように互いに思索しているからかも知れない。

 

△にも長い間興味を持ってきた。思い出すのは、春日大社のあの(身の毛もよだつ)若宮おん祭のお旅所の壁に白く浮き出した3段9つの△である。これは横に渡した9本の柱の断面かと思うが、鮮やかなものであった。△を並べてみると、それは点のようなものにも見える。「点は△形をしている」

小学生の時に、大学生だった兄に「わらないものをXとおいて・・・」と数学の方程式を教わったことがあった。「わらないものをXとおく」とはどういうことか、わらないものはおきようもないだろう、と思うと同時に、私は何か、我々のたいへんな秘密、秘術をこの時知ってしまったようにも感じたことも思い出す。△はこの「おいたもの」、そのもの、あるいは「おくという行為」を指し示しているように思える。

 

「アフォーダンス」という考え方にも興味がある。コップを持とうと差し伸ばしつつある手は、すでにコップにそった、コップを受け取るかたちをしているというのである。「思ったことは実現する」(What you envision will take shape.)という言葉、考えを進展させた作品をここしばらく作っている。”ものも、また「アフォーダンス」するのであろうか”、と頭のなかではまた漏電しはじめた。

(作家の制作メモ帳より)

 

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Installation view

2014_Shuzo Azuchi Gulliver Work list_1

2014_Shuzo Azuchi Gulliver Work list_2

 

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シュウゾウアヅチ・ガリバー     
           

2014年 9月13日- 10月11日 日祝休
※ open : 11: 00 – 19: 00   
オープニングレセプション:9月13日(土)19 – 21 pm

Installation view 


この度弊ギャラリーでは、シュウゾウ・アヅチ・ガリバー (b.1947)の初めての個展を開催しますので、ご案内を申し上げます。

アヅチは60年代より半世紀に及び絶え間なく活動を続けていて、多くの人々に知られている伝説的な作家です。ただ作品形態の多様さのせいか、或いは本人の言動や風貌が印象深すぎるのか、特に国内では作品そのものへの評価は暫く保留にされていました。

67年の第1回「THE PLAY」展、69年の「インターメディア・アート・フェスティバル」ほか、現在再検証の進む日本の前衛芸術史上の数々の重要な展示やイベントにアヅチの参加を確認出来ます。

また90年代からはイタリア・オランダ・ドイツを主に海外での発表が多くなり、美術館クラスの相当な規模の展示も実現していますが、あまりその事実は知られていません。

そして2010年の滋賀県立近代美術館での回顧展「EX-SIGN」の際に、東京でも幾つかの関連イベントが開催されたのですが、若者を中心に瞬く間にアヅチへの関心が高まりました。初めて彼を知る人たちには、そのコマーシャルに寄らない活動方法(当時は商業画廊も少なく、自然な事ではあったのですが)、あらゆる素材の横断、問いを提案し続ける態度、薮から棒な言動など、むしろ不可解ではなく具体的なアイデアとして影響を持ち始めたのです。

アヅチの現在の作品は本人が数年前、数十年前に制作した作品とどこかで接点がある場合があります。
本展では〈方向を示すしるし〉から発想した新作と関連して、75年の作品「ものは体に反応する/リンゴ」他、数点を展示予定でおります。

ぜひこの機会に本展にお出掛け下さい。